CHILD LIBRARY 子どもライブラリー

「夜のあったかクリスマス」

11月の保育参観の「見どころ・ハイライト」をひとことであらわすと、「本当に意味のあることは目に見えない。耳に聞こえないものだ。」ということでした。

しかし、人間は世界を認識するのに、まず「見る」「聞く」「感じる」「味わう」「匂う」からしか始めることはできません。小さな子ども達は、この入口で鋭敏な感覚を働かせて、毎日生活して学習行動をしているわけです。

ただ、どうやらそこには本当の答えはないようです。たとえば、箱の中に手を突っ込んでさわりながら「う~ん」これは何だろうと探っているようなものでしょうか。

本質は、自分の感覚を通して経験したものを土台として、「考える」「想像する」「洞察する」ことで理解できるようになるものです。

いきなりややこしい話で申し訳ありません。今月の夜のあったかクリスマスに来ていただく前にこの行事の意味やねらいを伝えるための前置きです。

 

前回のカナカナ学習会で話しましたが、アウトサイドを通してインサイドに届くということです。子ども達は、4月からアウトサイドの経験をたっぷりあそぶという豊かな経験を通して積み重ねてきました。秋から冬にかけて、次はいよいよ内面の充実期となります。つまりインサイドの育ちを定着させる時です。

初めての方はご存知ないと思いますが、夜のクリスマスは「さむい」「せまい」「見えない」の3拍子が揃っていますので、あまり評判は良くないのではないかと、私はいつも心配します。当日わかりますが、「暖房がないのでさむい」「人がギュウギュウでせまい」「暗くて子どもがよく見えない」ということですから、私が心配するのもわかっていただけるでしょう。ところが、意外と保護者の皆さんからは、「私は園の行事の中で夜のクリスマスが一番好きです」という声が多いのです。

 

夜のクリスマス会で子ども達が歌います。「愉快に弾ける声」「柔らかくやさしい声」それはそれはどのクラスも、「いつまでも聞いていたくなる」ような歌声です。でも、子どもに歌は教えることができても、歌声を教えることはできません。どうすればいつまでも聞いていたくなるような歌声になるのでしょう?

もうおわかりだと思います。

子どもライブラリーのよく考えられたカリキュラムと日々のプラグラムの中で、    子ども達は、

①たっぷりと自立的にあそぶ

②自己管理する生活

③豊かな生活体験

と、充実した日々を過ごしてきました。それらを通して蓄えられた目に見えない内面の力(インサイドパワー)がその歌声の源泉なのです。

夜のクリスマス会に参加された保護者の皆さんにとって、その内面の力が感じられるようになると、「さむい」「せまい」「見えない」のアウトサイドの不自由は、全く気にならなくなります。そして、見る、聞くだけでなく、感じるという深く心に染み入って、忘れることのできない異次元の体験が、私達大人の心をあたたかくしてくれます。

「クリスマス会が一番好きです」という感想が多いのは、そういうことではないかと私は思っています。インサイドパワーが問われるのは、子どもの育ちに対してだけではありません。子どもの成長を見続けてきた私達大人の子ども理解も問われているということでしょう。

 

さて、今年はどんな夜のクリスマス会になるのか、全く予想できません。毎年新しい発見があり、新しい展開が見られます。そして、最後に辿り着くのは・・・。

 

子どもライブラリーの行事は、毎年同じものがひとつもありません。

毎回オリジナルで、先生と子どもが作り上げていきます。予定調和で同じことの繰り返しからは、感動は生まれません。あたたかく、心に定着するような異次元の体験もできません。

・・・・・ここからは、カナカナ学習会で詳しくお話します。運動会の時もそうでした。意味やねらいを聞き、「見どころ」に焦点をあてると、楽しみはより一層鮮明になります。自分勝手な「見る」「聞く」に終わらず、視野を広げましょう。新しい世界があなたの内面をもっと豊かにしてくれますよ。

2018/12/07