CHILD LIBRARY 子どもライブラリー

「家族」の力 =運動会に向けて=

 天気予報ばかりを気にする10月の運動会です。

子どもライブラリーの運動会には、全国各地から園の先生方が見学・勉強に来られます。先日パソコンのメールの整理をしていると、2年前の運動会の感想がありました。その中で、「家族の潜在能力を引き出すというまさしく子育て支援の真骨頂を見せていただきました。」という文言に目が止まりました。「うまいこと言うな~」と、私は感心してしまいました。

さまざまな子育て支援策が、苦渋、難渋している親子を支援するとして、実施されています。ただ、その中には「しかし・・・」というものも含まれています。ご批判があることを承知して、あえて言わせてもらえれば、「家族というのはもっとすごい力を秘めている」と、私は思います。家族のありようは、全くさまざまですので、一律には論じることができませんが、信頼して、寄り合って、発揮する力は、想像以上で侮ることはできません。

公的扶助として、支援の政策は必要ですが、「自立した家族の力の見直し」もまた、必要なことと考えます。

 

 運動会は、各クラス毎の競技を中心として、子どもの成長を喜び、子どものがんばりを応援するという趣旨のもとに行われます。しかし、子どもライブラリーの運動会は、ちょっと違います。

成長を喜び、応援するというのは変わりませんが、それ以上に大人も積極的に参加するというねらいがあります。子どもが2人いれば、おとうさん、おかあさんは、保護者席を離れてずーっと入場門と退場門を行ったり来たりしているというのが、子どもライブラリーのプログラムです。しかも、単に大人参加型というだけでもありません。

家族の一体感、そして会場の一体感は、類を見ない迫力です。でも、多くの大人と子どもが寄り集まれば、一体感が生まれるというわけではありません。一体感は、即ち「気持ちの集積」です。楽しもう、がんばろう、喜び合おう、応援しようというたくさんの「気持ちの集積」が、一体感を生み出します。そして、その先にあるのは、「感動」です。

我子の成長に感動するのは、親としてはあるでしょう。しかし、名前も知らないヨソの子どもにも感動するのは、それほど経験できることではありません。子どもライブラリーの運動会の独特の会場の一体感は、このヨソの子どもも愛おしいと思え、応援したくなる「気持ちの集積」が生まれるからでしょう。

それは、「公共の福祉」にもつながります。ヨソの子どもに感動するという感性は、すべての子どもに開かれた大人の責任を自覚するという感性でもあります。授ける、授けられるという相互扶助は、健全な道徳観とつながります。その中心にいるのが子ども達です。「道徳観」は、教えるものではなく、「生み出す」ものです。

子どもの存在そのものを愛おしいと思える大人が作り出す「家族」=Family=のパワーは、何にも替えられない強さを秘めています。やっぱり「家族の潜在能力」は、侮れないということでしょう。

 

 運動会のテーマは、「おとうさん」(2014)「おかあさん」(2015)「おじいちゃん・おばあちゃん」(2016)と続いて、今年(2017)は、「家族」となりました。競技はもちろんオリジナル。入場門は、ビオトープの「カエルの家族」「イモリの家族」を子ども達と一緒に作りました。先生と役員が段取りするのではなく、じんろく組が運営参加するユニークな形も健在ですまた、一般自由参加の「青大将競技」「祖父母競技」「小学生競技」もとても楽しみです。今年のじんろく組のユニフォームは赤です。

準備は整いました。

しかし、みなさんの「気持ちの集積」による会場の一体感が生まれるかどうかは、まだわかりません。これだけは計算できず、予約もできません。ひとつひとつのプログラムの進行の過程で、醸成されてくるものです。

職員が工夫して仕掛けたオリジナル競技の秘密と、それをおもしろがる子ども達。ビデオ、カメラを横に置いて、ワクワクとした表情で走りまわるおとうさん、おかあさん。プログラム1番の親子の全員体操から会場が弾けます。思いっきり楽しみましょう。ビックリしましょう。応援しましょう。そして、気持ち良く疲れた体を休める夜になって、じっくりと考えましょう。

「家族ってすごいな~いいものだな~」と・・・

2017/10/30