ビオトープの学び

夏に外の手洗い場を移設して、新しく作り替えました。もう20年も使っていたでしょうか。子ども達が手洗いをするのに不便だったので、最新の手洗い器具に取り替えました。そのあとに、穴を掘ってブロックを積み、石を重ねて、ビオトープが完成しました。

 

周囲をフェンスで囲み、さらに小動物が逃げないように細かい網で2重に補強をしてあります。

8月下旬に、佐用から岡山へと、園長・赤西君と数人の子どもが、水生動物を捕まえるために、バケツと網を持って旅をしてきました。

ヘビ(2匹)、亀、イモリ(40匹)、タガメ(大)、水カマキリ、コオイムシ、ヨシノボリ、シマスジドジョウ、メダカ、カニ多数・・・その他氏名不詳の生き物を持って夜に帰ってきました。準備していた池に入れたのですが、次の日の朝、ヘビと亀とイモリ約20匹とカニ多数は、脱走していなくなっていました。

2重の金網は役に立たなかったわけで、アドバイスを受けてすぐに並板で「忍者返し」を新たに作りました。いずれにしても、生物の力というのはすごいもので、まったく侮っていたことを大いに反省しました。

 

 大きな亀が貴重なコオイムシをパクリと食べてしまったので、私は怒って即隔離となりました。子ども達が捕ってきてくれたアマガエルを、イモリが喜んで食べます。「あっ、片足食べた」と、子ども達はそれを見ています。金魚でさえ、集団でアマガエルをつつきます。亀もイモリも、メダカを食べます。メダカは集団で逃げます。そのイモリも亀にはかないません。エサの取り合いになると、ケンカして追い払われます。ビオトープの中では、亀を頂点として水生動物の力の循環が作られています。

 

 ずっと飼っていたヒキガエルは、やっと外へ出ることができました。子ども達が毎日のように捕ってきてくれるエサ(ダンゴ虫、コオロギ、その他虫何でも。そして何よりのごちそうはミミズ。先日は、ゴキブリを20匹もつかまえてきて・・・とうやら巣を見つけたようです。)も豊富です。散歩させてもらってご機嫌です。今年は、外で冬眠をしてくれたら「冬のエサ代が助かる」と、赤西君は冬眠に期待しているようです。

明石君が捕まえてきた蛇の山カガシは、2日目にやっとイボガエルを食べました。数人の子ども達とそれを見ていましたが、頭から食べて約10分ぐらいかけてピョンピョン動いている足まで食べました。自然の生物は、人が与えた物は食べないのでとりあえずよかったよかった。次の日に山へ逃がしてやりました。

 

 ヒキガエルの赤ちゃんが4匹います。5cmぐらいでまだ小さいので、ダンゴ虫も食べられません。(のどに引っかかるそうです。)腐葉土をひっくり返すと、出てくる出てくる。菌や卵の中から微生物を喜んで食べます。ミミズは大きいヒキガエルのごちそう。池の中に放り込むと、亀、イモリを中心にして、メダカまで集まってきて食べます。(本当にミミズは全ての生き物のごちそうです。)

 

 子ども達は、さほど群がることなく、ビオトープを毎日じーっと見ています。特別な「キャー」とか「カワイイ」とか「へぇ~」という感嘆詞はありません。ただじーっと見ています。一体何を見ているのでしょう。

 

 夕方、お母さんのお迎え時、「いいわねぇ~涼しげで」「いやされるわ~」と感想を聞きます。ある時、「あっ、亀さんとメダカさんが追いかけごっこをしてあそんでるよ」とうれしそうに話すと、そのお母さんにそばにいた子どもがボソリと言いました。

「違うで~亀に食べられるからメダカは逃げとんや」

「エッ!!」とそのお母さんは絶句。

またある日の夕方、イモリがアマガエルを食べている時、片足を食べられてすみっこに追いつめられたアマガエルを、ビックリして心配そうに見ていたお母さんがいました。子どもが中に入ってアマガエルをつかみあげると、池の真中にポチャンと投げ入れました。

「ありがとう。逃がしてくれたんやね。」とホッとしたそのお母さん。

「違うで~ずっと突かれてたらずっと痛いから、はよ食べられたほうがいいから、真中に入れてやったんや」と、事も無げに言う子ども。

「・・・・・」再び絶句の大人。

 

 私は、2階の窓際でこんな会話を聞きながら、どうやら「子どもが見ているもの」と「大人が見ているもの」は違うのだということに気付きました。

大人は、学校教育を中心として「命の大切さ」「やさしさ、思いやり」を子どもに教えようとします。しかし、その内容はひどく道徳的で、実際を伴わないだけに空疎です。子どもには、冷静に本質を見抜く体験こそが必要だと思います。「きれいごと」からは、「きれいごと」しか身につきません。ビオトープは、「命の大切さ」の本質って何なのかということを、子どもと一緒にあらためて考えるきっかけになっています。

今月のカナカナ学習会でこの続きの話をします。

2017/09/20