CHILD LIBRARY 子どもライブラリー

夢を見る

2月になると夢を見る。理由は、親子ミュージカルの練習が始まったことに重なる。もともと眠るのは早い。眠る気になって10秒あれば充分だ。ところが、最近は睡眠が安定しない。夢を頻繁に見ることで余計に落ち着かない。

夢については、1月のカナカナ学習会で年長児のアプローチカリキュラム「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の資質」の表の中で、子どもの水彩画を取り上げて少しだけ説明した。夢の定義をまとめると、「自分にとって必要であるにもかかわらず、自我(Ego)が拒否したもの(コト)が再体験を求めて象徴を伴って現れる」となる。

まぁ簡単に言うと、都合の悪いことを自分ではうまく無意識のゴミ箱に捨てたつもりが、睡眠の入口・出口で意識が弱くなった時、強いエネルギーを持ったままの都合の悪いことが、無意識の境界を破って、ポコッと意識の世界にあらわれる。それを自我という網がヒョイとすくいとる。それが夢の内身だ。しかし、残念なことに夢は象徴を伴っているので、それだけでは理解できない。そこで、多くの人は「変な夢を見た」というだけですぐに忘れるということになる。

夢分析はとてもおもしろい。ところが、それにのめり込むとそれだけで一生分の時間を費やすことになる。私は、30年前にそのことに気が付いて、子どもの世界の方にUターンした。子どもも夢を見る。子どもの夢分析は非常に興味深い。それは、若干絵画分析ともつながる。それで、先月のカナカナ学習会の話となった。

 

さて、私の2月最初の夢のキーワードは、「氷の川であそぶ子どもたち」「そこに行くのを邪魔するマントヒヒのような獣の親子」「殺伐とした山」「山道の木の上に毒蛇の群れ」「ふもとにいた鼻がつぶれて血を流す白い犬」・・・。

私は、必ず夢は忘れないように走り書きする習慣がある。キーワードをひとつひとつ分析すると、「自分にとって必要な大切なこと」に、気付くことができる。

ただ、それが解決した頃には、親子ミュージカルも終わり、春になってじんろく組の子ども達は卒園して、園がすっかり静かになった頃だろう。

今は、そのことに時間をかけている余裕はない。積み残したもの、自分にとって都合の悪いものがいっぱいあっても、とにかく前にすすむしかない。

 

親子ミュージカルの製作がいよいよ本格化してきた。まず、物語を作る。これが一番苦しい。皆が知っている手あかのついたストーリーは選ばない。いつもオリジナルで考えるのだが、「物語の一閃」がいつやってきてくれるのか、自分にもわからない。ひたすらその神様が降りてきてくれるのを待つだけの焦る日が続く。

今回は、「花やしきの守り人」と題名をつけた。2月中旬になってストーリーは完結しているが、細部や演出はこれからになる。

曲を選んで分析する。ひとつひとつに振り付けする。子どもと母親と父親の体の使い方、筋肉は、異なる。それを考慮しながら動きを考える。だいたい3時間ぐらい集中して、最後の10分間だけ形ができるという具合だ。

従って、誰かいると集中できなくてイライラしている。昼間は無理だ。途中で途切れるとまた最初から3時間必要になる。土・日・祝・夜間が私にとって集中できる宝の時間となる。

 

子どもだけでなく、母も父も出る。これが親子ミュージカルの醍醐味だ。ライブラリーらしい行事だと思う。

間口22mの文化センターの大ホールは広い。初めての人は、そこに立つだけで緊張する。「出演すると決めた人には、絶対形になるまで指導する」と約束している。実際、スキップできない、ツーステップ無理、右回り左回り時々間違えるという母や父はいる。また、「観る人が感動できなくなったらやめる」とも言っている。なので、舞台でやる以上、中途半端にはしない。ひとりひとりが持てる力を120%出してもらう。「終わったあとで後悔するぐらいなら今がんばれ」「プロではないが、持てるものは全て出せ。適当にごまかすな」と厳しく?言う日々が続く。

何もないところから形あるものを作り出すのは、大変なことだと思う。しかも、人を感動させるものであれば、なおさらむつかしい。

 

子どもは、自分の置かれている位置を客観的に見る力はまだ育っていない。一生懸命することで、「見る力、聞く力」が磨かれる。その力を駆使して、相手を見る、そして鏡のように反転した自分を観察する。そこに客観性が生まれる。自分を客観視する力は、これから青年期、大人期、すべてを通して、とても大切な力となる。

母、父は、客観的に自分を誤解して見ている。取り繕っている。人の目を気にしている。そこから自分を解放させよう。のびのびしよう。人と比べる客観ではなく、冷静さを身につけよう。

今からちょうど1か月、子どもも大人もそれぞれの課題や能力への挑戦が始まる。

親子ミュージカルの凄さは、作品の出来上がりだけでなく、このひとりひとりの成長物語の体験の豊かさにある。

 

詳しいストーリーと「見どころ」を、2月のカナカナ学習会でおはなしします。

2019/02/27