CHILD LIBRARY 子どもライブラリー

「大人の本気」

子どもにとって、子どもライブラリーの毎日がとても楽しい。先日、「こんなに楽しそうにしている子ども達を見たことがない。」と、ほめられた。最高のほめ言葉だと思う。「自主性、意欲、考える力、思いやり、やさしさ、ひらめき、そして健康」は、すべて毎日が生き生きと、楽しく、前向きでなければ身につかない。これは、大人も子どもも同じだ。

子どもライブラリーの「楽しさ」は、部屋の中での課題や作業、そして戸外でのダイナミックなあそびもすべて、先生と子どもが迷いなく、一体感を持って取り組むところから生まれる。一体感は、先生も手を抜かず、一生懸命ということだ。「子ども相手に大人気ない」と、すました顔をして、上から目線で、いかにも子どもを大切にしておりますと、手加減する大人を子どもは信頼しない。子どもは、いつも大人の本気を探っている。「楽しさ」は、友達とのトラブル、けんかも、自分の失敗も、悔しい思いも、全部包み込む。そして、そこから自分で這い上がってくることの後押しをしてくれる。心と体がポジティブであることが、「生きる力」の基本になる。

 

一方で、グループ懇談会の余韻も残っている。まだまだ子どもの話をしなければならない。特に、じんろく組は、あと6か月しかない。

「我が子がわからない」と聞く。これは苦しい。しかし、私は時にこんなことも感じる。子どもを「本気でわかろうとしていない」。この一言の意味は大きい。勿論「本気でわかろうとしない」ことには、大人の複雑な理由がある。しかし、大人が、そのことに向き合わず、ごまかしたまま、子どものことを考えようとしても、本質には届かない。厳しいようだが、私は、子どものことより、「嘘なく、その理由に向き合う」ことを求める。そこからしか子どもは変わらない。やはり、子どもは、いつでもどんな時でも、大人の本気を探っている。

 

先日のカナカナ学習会で、個人懇談会のまとめを話した。そのテキストがわりに、多くの親の共通の悩みである「子どもが言うことを聞かない」ということを、少しだけ解説する。

「大人の言うことを聞かない子ども」には、他に言い分があるのだと思う。大人にはお世話になって、命を守ってもらっている分際で、「言い分がある」なんて、生意気なようだが、ここは大人の分別とちょっとばかりの謙虚さで、どんな言い分があるのかを考えてみてほしい。

たとえば、子どもがこんなことを思っているとしたらどうだろう・・・。

1.「昨日、約束したことをお母さんはどうしてすぐに忘れてしまうんだ!!」

2.「ごはんを食べて、風呂に入って、絵本を読んでもらって眠るはずなのに、今夜は『風呂に先に入れ』と言う。順番を勝手に変えるのはやめてくれ!」

3.「ここはいいけど、そこはだめ。この人はいいけど、あの人はだめと、その場所や人や時によって、許可したり、禁止されたりすると、何が本当に正しいのかわからん!!」

4.「あれをしなさい、次はこれをしなさい、と先々と口出しするのはやめてほしい。今やろうと思ったのに、それを言われるとやる気がなくなる。」

5.「お兄ちゃん(姉)でしょう、とすぐに言う。どうして、ぼく(わたし)だけ我慢するんだ。本当は弟(妹)の方が、邪魔ばかりして悪いのに、お母さんは何も知ってない!!」

6.「本当はできるけど・・・お母さんのやり方とは違う。ぼく(わたし)には、ぼく(わたし)のやり方がある。」

7.「お父さんとお母さんだけで決めて、ぼく(わたし)には何も言ってくれない。次にどうするのか、どうなるのか、教えてくれない。ぼく(わたし)はものじゃない!!」

8.「ぼく(わたし)は、お母さんの言うことがよくわからない・・・」

 

思いつくままに、子どもの気持ちを書いた。ちょっとまとめてみる。

1.裏切り 2.3混乱 4.5反発 6.7自己主張 8理解不足・・・。

 

言うことを聞かない子どもを、素直に言うことを聞く子どもに修正するために、まず、そこにどんな理由があるのかを考えてみよう。必ず何らかの原因がある。なぜなら、子どもはつくられるからだ。理由が発見できれば、あとは簡単だ。自分にできること、自分の家庭でできることからはじめてみよう。無理することはない、小さなことからでもいい、もっと言えば、原因がわかるだけで、何もできなくてもかまわない。とにもかくにも、子どもの責任にせず、子どもにウンザリしてしまわないで、「子どもを本気でわかろうとする」だけでも、何かが前に進むものだ。子どもの責任にして、子どもの反省とがんばりだけを求める、鈍感で無神経な大人がもっとも救われない。嫌われる。反省とがんばりは、まず大人からしてみよう。

2014/07/09