「自由にする」のも力がいるのだ。
大雪の朝の8日(日)は、新人職員の研修&新年交礼会でした。朝6時30分に前川園長からTEL。「チェーン巻いてすぐ出発します。」と催促。「えっ、まだ紅茶も飲んでないよ。そんなに急がなくても集合は8時30分でしょう。」「何言ってるんですか。今朝は簡単には走れませんよ。すぐ出ます。」というわけで、かなりあわてて出発しました。
平成29年度は、芦屋市と川西市で大きなこども園を建設中のため、新職員は全部で53名、プラス各園の園長とスタッフで79名が集まる予定でした。
10分遅れで9時40分に開会式最初に私の挨拶。
「皆さん、今朝はいきなり社会人としての訓練だったですね。阪神間、和歌山など遠方の方もいらっしゃいましたので、この大雪は大変だったでしょう。
私達は基本的に行事・会議は定刻スタートとしています。遅れる人は、自己責任と考えています。遅れないようにきちんと考えて、時間を守る人が優先です。しかし、今日は、とんでもないハプニングですから気にしなくてもいいですよ。それでも①遅れる連絡のない人 ②「遅れます」の連絡をする人 ③「遅れる謝罪と遅れる理由と新たな到着の時間」をきちんと連絡する人とさまざまでした。
私は、「こうしなさい」と教えたり、指示するのは、あまり得意ではありません。言われる方は嫌だろうと思うからです。また、自分で考えるべきことだとも思っています。
「教えてもらわなければわからない」と口をとがらせる若い人もいますが、いつもその方にはこう答えるようにしています。「世の中にマニュアルというのがあります。とても便利です。やるべき方法が細かく丁寧に書いてあります。しかし、マニュアルというのは自分で考えることのできない人のためにあるものです。マニュアルに頼るだけの大人にはならないようにしましょう・・・・・」
とまあこんな風に会はスタートしました。朝、いろいろとあったでしょうが、無事に全員出席はうれしかったです。
みんながランチを食べ、ゲームを楽しみ、雰囲気はなごやかで外は寒くても室内はとてもあたたかくなりました。やがて、「先輩の声を聞く」というコーナーで加古川の園の3年目の職員がこう話してくれました。
『1年目は、みんなに守られていたと思います。先輩達は、好きにしていいよ。失敗を気にしなくていいからね。自分の自由にしていいよ・・・とやさしく言ってくれました。でも「好きにしていいのよ」と言われると「好きにしなければ」と思い込み、何が好きにすることかわからず苦しくなるばかりでした。また、「自分の自由にしていいよ」と言われても自由にすることへの意味がわからず、自由にすることの縛りにかかってしまって身動きできないという悪循環でした。やがて10月の運動会が終わった頃、理事長に「君はごまかしてるね。ウソっぽいよ」と突き放されて、これではいけないと考え直しました・・・』
と、けっこう真剣な話が飛び出しました。最後は、それらをふまえ、3年目の今年は仕事を任せてもらって生き生き楽しくやっているということで締めくくってくれました。
私は、それを聞いて考えました。
「そうか、好きにするというのは簡単ではないんだ。自由にするというのは力がいるんだ。」
これらのことは、カナカナ学習会でも何度も話していたので、よくわかっているつもりでした。指示され管理されるのは不自由ですが、別の意味で楽です。自分で決める必要がなく、責任を取ることもないからです。しかし、それでは自分を生きることにはなりません。勇気を出して、失敗を恐れず、自分で決める・自分でえらぶ自由だけは、手許から離さないようにしよう。離さない力をつけよう・・・こんなことを子育てにおいて、教育・保育において、目標にしたいと考えています。
ですから、そのことの意義は、わかっているつもりでした。しかし、今この場所で自分の職員から聞かされると、妙に新鮮で納得させられました。そして、そのことに苦しんでいたことがわかってあげられなかったことをちょっと悔やみもしました。
子どもライブラリーの毎日の教育・保育の活動の中で、「好きにする」「自由にする」ことのむつかしさや、子どもに備わる力の大きさは実感しています。それらを軽々と乗り越えている子ども達のすごさも見ています。
次の日、改めて子どもライブラリーの子ども達を見直して、勇気づけられました。
2017/01/25