CHILD LIBRARY 子どもライブラリー

半年間のまとめ

 ある園のことです。

保育参観が終わったあと、ひとりのお母さんが階段の踊り場に自分の子どもを呼び出して怒っています。

「なんで先生の話をちゃんと聞かへんの!!そんなんしてたら学校に行かれへんで!!」子どもは壁際に追いつめられて動けないまま、「わかっとう」と小さくつぶやいています。

親の気持ちはよくわかります。さっき見た保育室での我子の落ち着きのなさが許せなかったのでしょう。家に帰ってこの子はまた叱られるのでしょうか。親子共に重い夜になりそうです。

また、保育参観で我子がきちんと座ってお利口にしていた、そこそこ発言もしていたと、安心して帰って行く親もいました。この子どもは、家へ帰ってからほめられるのでしょうか?

子どもの中には、性来の過敏症で多くの人が集まる所とか、いつもと違うだけで落ち着かなくなる子どもがいるものです。しかし、まじめできちんとよくわかっているということもあります。

また、お利口に座って、問題がなさそうに見えても格好ばかりで本当には理解できていないという油断できない子どももいます。

いずれにしても、保育参観で「ちょっと見た」だけではわからないものです。

 

 4月からカナカナ学習会で「子どもはつくられる」と話してきました。そのことから考えると、「先生の話を聞かない、聞けない子どもはいない」ということになります。「聞かない、聞けない子ども」はつくられた結果です。

11月の保育参観日は、丁度半年経ってのまとめと思ってください。おどろくことも、あわてることもありません。

その結果をふまえて、次にどうするかを考えましょう。

キーワードは、①育ちの連続性 ②総合発達 ③自己学習 そして  ④ことばです。カナカナ学習会を思い出してください。皆さん、保育参観を経験して我子を再発見されたことでしょう。「家庭生活以上のことは起きない」と私は4月に言いました。良くも悪くも受け入れてあげてください。そして、半年間の育ちをふまえて、親子で次の一歩を強く踏み出しましょう。

 

 さて、寒くなってくると、子ども達はアウトドアの「動」からインドアの「静」の活動へと移行していきます。動と静は表裏一体となって子どもの育ちを支えています。このつながりの重要性を再確認して、「夜のクリスマス」を楽しみましょう。夜のクリスマスは、とにかく寒い、せまい、暗い、我子が見えない、しゃべれないの「5ない」状態で行われます。「5ない」って何のこと?と初めての方は何が始まるのか楽しみでもあり、不安でもあるでしょう。

子どもライブラリーの行事は、いつも皆さんの想像を超えて、おもしろくて、感動的です。見どころ、聞きどころを12月のカナカナ学習会でおはなしします。子どもの育ちの次なる一歩のヒントがたくさん発見されるでしょう。お楽しみに。

 

<話変わって・・・>

 お月見会の感想アンケートを読ませていただきました。たったの300字程度ですが、囲み枠の中にあふれている気持ちがバンバンと伝わってきました。私は、人に直接伝わる文章を書くことにいつも苦労します。なかなか簡単ではありません。皆さんのアンケートを読んで、その「すごさ」に感動しています。

 

なぜなのか?を考えると、わずかな文章の中に、結婚して、出産して、喜びあり、苦労ありの生活の重みがギュッと詰められているのが読み取れるからでしょう。ひとりひとりの人生のそれらの出来事を想像すると、圧倒されます。

特に「いつもより多めにアクセサリーをつけて、久しぶりにたった一人で電車やバスに乗り、残してきた子どものことを考え、ちょっとした後ろめたさと、それでもというドキドキの楽しみの葛藤を抱えて、夜の街に出て、その空気を吸っただけで生き返る・・・」なんて最高のドラマだと思いました。

お月見会が楽しみだけでなく、人と人との人生のぶつかりあいだと考えると、もっとワクワクしてきました。

次回も・・・

2016/12/06