夜のクリスマス会へお出掛けください。
玄関の大きなケヤキの木が、枯葉を落とす季節になりました。毎朝、先生と子どもが、あちこちにふきだまった枯葉を集めるのが日課です。先生にとっては、大変な朝のひと仕事。(とにかく量が多い。)
子どもたちにとっては、おもしろい枯葉集め。幸福な子ども時代の冬のひとコマです。
10時になると、シーンと静まりかえった園舎のあちこちから、クリスマスソングが聴こえてきます。1階はくまのこ組。丸太小屋でいちべえ組。2階はじんろく組。ゴニョゴニョと聴こえてくるのはねんねこ組の部屋から・・・。クリスマスソングは、本当に華やかで、またしっとりしていて、「よくできてるなぁ~」と思います。冬至が近くなって、日が短くなる頃にピッタリの雰囲気があります。
子どもたちは、まじめに練習しています。まじめに歌います。一生懸命歌詞をおぼえます。それでも、数曲覚えるのは大変。歌詞と歌詞がこんがらがって、変なフレーズが突然出てきます。そんな時、みんなで明るく笑います。そして、誰かが丁寧に間違いを教えてくれます。「ありがとう」と、間違えた子どもはあっさりと受け入れます。その様子を見ながら、そこに一緒に歌ってかかわりながら思います。「子どもどうしのトラブルがなくなったね」と。
子どもどうしのぶつかり合いは、自己主張のあらわれです。強く出る子も、弱く出る子も、みんなにそれぞれの言い分があります。一方的にやられっぱなしということは、まずありません。
でも、強くても弱くても、トラブルは大切な社会経験のひとつ。みんなその道を辿って、葛藤を経験しなければなりません。私達には、大きなふところで安全を確保しながら、子どもどうしの必要なぶつかり合いを、見守ることが求められます。
なつまつり、運動会、8kmハイキングと、outdoorの行事が続いたあと、いよいよ12月からは、indoorの行事が待っています。その準備と練習の中で、子どもの育ちの変化を感じます。
「トラブルがなくなったね」というのは、大きな成長を遂げているという証です。充分に許される葛藤を経て、自分を知り、相手を想像する。このようなとても大きな力が身についてきたということでしょう。誰かの歌の間違いを好意的に指摘する。それを聞いてあっさりと受け入れて、相手に感謝する。「教えてくれてありがとう」こんな小さな子どもたちが、大人でもむつかしいと思われるようなコミュニケーション能力を、きちんと理解して発揮できるというのは、すごいことだと思います。4月、5月の頃を比べると、本当に「人として成長したな」と感じます。
夜のクリスマス会は、子どもライブラリーでも特別な行事のひとつです。暗くて寒い部屋の中に、保護者の皆さん、いっぱい窮屈に集まって、子どもや父母の歌声を聴きます。ただそれだけです。しかし、そこに「魂(たましい)」が宿ります。そして、見えない「魂(たましい)」に全員が共感、共有できる静かな喜びが生まれます。やはり、目には見えない「きれいだなぁ」と感じる感性は、自分自身の発見ともなります。
子どもライブラリーの夜のクリスマス会に宗教性はありません。しかし、色付けされた宗教というよりは、子どもの持っている素朴な「神性」にふれることができると思います。子どもの神性は、子どもの孤独の表出です。私達大人にとって、子どもという存在の不思議さを教えてくれます。
「私達家族は、こんなに自分の子を可愛がっているのに。子どもは毎日「おかあさんだいすき」って言ってくれるのに。子どもは孤独だなんて・・・一体どういうこと? 理事長何を言ってるの?」と、疑問に思ったり、反発されたりする方は、その疑問と反発を持って12月のカナカナ学習会へどうぞ。
さて、最後はキャンドルの灯りを楽しんでみましょう。「子どもって・・・」としみじみ思える瞬間です。
12月14日、15日は、寒くて窮屈で、特別に何もない夜のクリスマス会へご家族でお出掛け下さい。
2019/12/11