CHILD LIBRARY 子どもライブラリー

運動会あれこれ

【運動会前日】

10月14日(金)運動会前日の午後。園内が静まり返っている。すべての練習を終えて、緊張感のある集会をしているのかと思ったが、そうでもなさそう。教具室からじんろく組の歌声が聞こえる。「ゆめから~さめたら~♪」相変わらずの柔らかくきれいな歌声だ。しかし、「あしたはうんどうかいなんだけど・・・」。

1階に降りる。ねんねこ組はベッドをキレイに並べて、みんな気持ち良く昼寝中。これはいつもの通り。園庭でいちべえ組とくまのこ組先生とのサッカーの試合中、「ワーキャアー」と楽しそう。その隣で「サッカーこわい」という子ども達がお団子づくりにせっせと手を動かして忙しそう。でも、「あしたうんどうかいなんだけど・・・」。

これがいつもの子どもライブラリー。行事に向かって短期間で一気に仕上げる。する以上は手を抜かない。持てる力を全部発揮する。それでも、もっと大切なことがある。

それが「生活」。生活を犠牲にして取り組む行事であってはならないと考えている。子どもの日常の維持を守りながら、どれだけのことができるか、先生の知恵が試される。

 

子どもライブラリーには、おどろく程の経験と知見の積み重ねがある。想像がつかない競技内容も、信じられないような入場門もプログラムも、あっという間に仕上げてしまう。あの恒例の万国旗も、事も無げに1000枚以上を子ども達は描き上げた。ここでは、先生の段取りの良さが光る。

どんなことも、ずるずると引きずらない。ダラダラと繰り返さない。切り替えを早くする。そんなことの毎日が、子ども達の集中力を高めていく。・・・と書き連ねていると、日が変わり、運動会の朝になった。

 

【運動会本番】

朝の設営は、約45分。35名のお父さん達と役員さんの手伝いで、あっという間に爽やかで緊張感のある舞台ができた。

前夜祭で練習した「おーきなうた」の体操からスタート。最後、クラス毎に輪になって「オー」と終わっただけで感動した。競技はどんどんすすんでいく。無駄がない。勿論ハプニングは起こるが、素早く対応して何事もなかったかのようにすすめる。

毎年、音響、進行マイクはカナカナクラブの役員さんが引き受けてくれる。小さな失敗の連続で本部テントは緊張したり、戸惑ったりと大忙しだった。でも、3人共責任感のあるいい顔だ。

ウクライナのひまわりは、想像以上にロケーションが華やかだった。重みが感じられ、胸に迫った。あのひまわりは、子ども達の手作りだ。祖父母競技の平和の鐘の音は笑えた。お父さんが張り切って「カーン」というのは、何回も笑えた。応援席から飛び出してくる「山姥」も可笑しかった。タイミングがつかめず、早く出過ぎて困っているお父さんの姿が何とも・・・。

それにしても、じんろく組の運営の手伝いはテキパキしていた。集中して、無駄がなく、最後まで安心して見守ることができた。ひとりひとりが競技の内容をよく理解して(これは先生の指導が良かった)適切に動くことができていた。「ようやくじんろく組の顔になってきたなぁ」と、とても頼もしかった。

 

何十年前、「子どもが競技の運営の手伝いをする」という方法をはじめて提案した時、保護者から大きな反発があったのを思い出す。「子どもにできるわけがない」「子どもがかわいそうだ」・・・。実際は、皆さんご覧になった通り。親と子どもと先生、そして会場全体に一体感が生まれた引き締まった運動会になった。「子どもの成長を見世物にしない。みんなで作り上げる」というのが、その後の園の教育・保育のコンセプトのひとつになった。

会場撤去に入る。なじみのビデオ撮影業者のスタッフがひとこと。「いつもこの園は撤去が早いですよね。みんなで取り組んで・・・さすがですね」

 

【運動会のあと】

今日は、運動会明けの17日(月)朝から雨。私は今月のカナカナ通信の原稿を急いで書いている。やっぱり今年も子どもライブラリーの運動会はおもしろく、豊かなイベントだった。子ども達にステキな体験の贈り物がまたひとつできた。

運動会が終わった後、家族で、親戚で食事をしながら、運動会の思い出話に盛り上がっていれば、先生達には二重の喜びだ。

家族が共有できる体験こそが、絆を深めていくと信じられる。それこそが、子どもライブラリーの運動会の真骨頂。真の意義と考えている。

さて、私は今から首里城再建募金の請求書の金額¥30,700を銀行に引き出しに・・・。「傘はあったかな?」

 

今月のカナカナ学習会は、子どもライブラリーの運動会の成り立ちと、その意義(子どもと家族の成長)、そしてこれから・・・について、丁寧にお話しします。万国旗のパネルもお見せしますよ。

2022/10/25